ホテル管理システム(PMS)とは?
ホテルの予約には「ホテル管理システム(PMS)」が利用されます。ホテル管理システムとは、主にホテル・旅館など宿泊施設の管理システムのことを指します。
ホテル管理システムの主な機能
主な機能は下記の9つです。
予約管理 | 予約情報や残室状況の把握、登録内容の変更など、予約管理業務を効率化するための機能。 |
顧客管理 | 一度宿泊した顧客の情報を登録・管理する機能。誕生日や記念日の登録や、DM配信ができるシステムも。 |
フロント業務支援 | チェックイン/アウト、部屋別の伝票の入力、請求書の印刷といったフロント業務を自動化・効率化する機能。未着・滞在など客室ステータスを一目で把握できるものも。 |
施設管理 | 会場・施設の利用予定時間を見える化し、予約/空き状況をひと目で把握できるようにする機能。 |
料理管理 | 朝食・夕食の有無の確認、料理の種類や会場ごとの集計ができる機能。必要な食事数の把握に役立つ。 |
手配品管理 | 送迎やマッサージ、カラオケといった各種手配などをカテゴリや利用日別で管理できる機能。 |
売掛管理 | 売掛金の台帳管理や入金処理、残高チェックなどができる機能。クーポンやカードの管理にも対応。 |
会計 | 売上の登録やチェックアウト処理を行う機能。レシートや日別の利用明細書の発行、明細書情報の管理にも対応。 |
分析 | 売上や予約など、システム内で管理している情報をもとに統計分析を行う機能。経営戦略に役立つ。 |
ホテルや旅館の管理すべき情報を一元管理したり、業務効率化を向上させたりするにはホテル管理システムの導入が欠かせません。
サイトコントローラーとの違い
ホテル管理システムとサイトコントローラーは管理する内容が違います。
- ホテル管理システム(PMS):フロント業務を一元管理するシステム
- サイトコントローラー:複数の予約経路から入る予約情報を一元管理するシステム
サイトコントローラーとは、複数の宿泊予約サービスを一元管理できるシステムのことです。具体的には、じゃらんnet、楽天トラベルなどが宿泊予約サービスの一例に挙げられます。
サイトコントローラーはあくまで予約情報を一元管理するシステムなので、ホテル管理システムのような顧客管理、チェックイン・アウト、客室の空室状況の把握などを管理することはできません。
すでにサイトコントローラーを導入している場合でも、ホテル管理システム(PMS)の導入を検討するのがおすすめです。
ホテル管理システム(PMS)を導入するメリット
ここまで、ホテル管理システム(PMS)の機能やサイトコントローラーの違いについて解説してきました。
ホテル管理システム(PMS)を導入するメリットには、下記の4つが挙げられます。
- 予約業務の効率化
- 24時間予約の受付が可能
- ダブルブッキングの防止
- 空室状況をリアルタイムで管理
ホテル管理システムを活用することで、現在抱えているフロント業務の課題の解決につながるでしょう。ここからはメリットについて解説していきます。
予約業務の効率化
予約の管理を手書き台帳やPCへ手動で入力している場合、入力ミスが発生するリスクが高くなります。ホテル管理システムを導入することで人的ミスを大幅に削減し、効率化を図ることが可能です。
24時間予約の受付が可能
ホテル管理システムを導入することで、空室確認や予約状況の問い合わせなどの自動化ができます。
ホテル管理システムが自動で受付してくれるため、顧客は24時間いつでも予約することができるようになり、機会損失を避けることも期待できます。受付時間を問わずいつでも申し込めるのは顧客にとってもメリットです。
ダブルブッキングの防止
ホテル管理システムとサイトコントローラを連携させることで「電話予約」「宿泊予約サイト」の予約情報を一元管理できるため、ダブルブッキングを防止することが可能になります。
空室状況をリアルタイムで管理
ホテル管理システムがあれば、複数のサイトコントローラーを一括で管理し、空室状況もリアルタイムで把握することができます。
ホテル管理システム(PMS)を導入するデメリット
一方で、ホテル管理システム(PMS)を導入することのデメリットには下記の3つが挙げられます。
- 初期費用や利用料金がかかる
- パソコン操作が必須
- キャンセル率が上がる
メリットと合わせてデメリットについても、導入前にしっかり理解を深めておきましょう。
初期費用や利用料金がかかる
ホテル管理システム(PMS)を利用するには、初期費用だけでなく月額あるいは年額の利用料金がかかります。価格帯は、ホテル管理システム(PMS)の種類やプランで異なりますが、一般的には、初期費用は数万〜数十万円程度、月額費用として数千〜数万円かかるといわれています。
料金が安いプランを選択すると、予約件数に上限が設けられている場合もあるので宿泊施設の規模に応じて選択するようにしましょう。
さらに、追加のオプションで機能を追加することで、さらに費用がかかることもあるので、想定外の費用を請求されないためにも、価格帯だけでなく必要なシステムを事前にチェックしておくことが必要です。
できるだけ利用料金を抑えたい場合は従量課金制がおすすめです。従量課金制であれば、予約件数の上限を超過した分だけの支払いだけで済みます。
パソコン操作が必須
ホテル管理システム(PMS)は、パソコンで画面表示や操作を行うため、パソコン操作に慣れていない従業員は慣れるまでに時間がかかってしまうこともデメリットの1つとして挙げられます。
従業員間で操作の理解度がばらばらのままでは、業務改善ができない可能性があるので、あらかじめ従業員全員へ操作・管理方法に関する教育を行うのも効果的です。
キャンセル率が上がる
予約もキャンセルもネットのボタン1つで手軽にできることは、顧客にとって抵抗感なくキャンセルできてしまうため、キャンセル率が上がる点はデメリットに挙げられます。
電話での予約に比べてインターネット経由の予約では顧客と施設とのコミュニケーションは希薄になってしまうものです。また、予約客の把握ができない点もデメリットといえます。
手軽さゆえに顧客側が予約したことを忘れたり無断キャンセルしたりするケースも少なくないです。キャンセルによる機会損失を避けるために、キャンセル対策機能が付いたシステムを利用するのも良いでしょう。
ホテル管理システム(PMS)の比較ポイント
ホテル管理システム(PMS)は多くのサービスがあるため、どれを導入すべきか悩んでしまうケースも少なくないです。導入する際に確認すべき比較ポイントは下記の3つが挙げられます。
- サイトコントローラーに対応している?
- 清掃管理に対応しているか?
- 自動チェックインと連携可能か?
解決したい業務課題や宿泊施設の規模に合わせて選択するようにしましょう。
サイトコントローラーに対応している?
ホテル管理システムとサイトコントローラーは、前述したように役割が異なります。ホテル管理システムによっては、サイトコントローラーに対応していないものもあるので注意が必要です。
予約情報の一元管理を効率化できるサイトコントローラーとホテル管理システムを上手に組み合わせることで、業務改善を発揮しやすくなるでしょう。
清掃管理に対応しているか?
ホテルや旅館において人的負担が多い業務の一つに「清掃業務」が挙げられます。
清掃管理業務も効率化したい場合には清掃管理機能を搭載したシステムを選ぶのがおすすめです。清掃状況の管理や清掃員のアサイン、清掃状況をリアルタイムで把握、客室の忘れ物や設備不良の管理にも対応できるサービスもあります。
自動チェックインと連携可能か?
ホテル管理システムが外務機器と連携できるかどうかは比較する上で重要なポイントです。中でも、チェックイン業務やチェックアウト時の精算業務を自動化できれば、フロント業務の効率化にもつながるでしょう。
比較する際には、自動チェックイン機やタブレットレジカード、自動精算機などとの連携ができるかどうかもチェックしておくと良いです。
【規模別】ホテル管理システム(PMS)の比較
比較ポイント以外にも重要なのが、宿泊施設の規模にあったホテル管理システム(PMS)を選ぶことです。
最後に、中小規模向け・大規模向けそれぞれ2つずつサービスを紹介します。ホテル管理システムごとに強みや特徴は異なりますので、どれを導入すべきか迷っている場合はぜひ比較しながら選んでみてください。
中小規模向けホテル管理システム(PMS)
この記事では下記の中小規模向けのホテル管理システム(PMS)を比較していきます。
- MINCAN(ミンカン)
- Staysee(ステイシー株式会社)
MINCAN(ミンカン)
「mincan」は大手予約サイト「じゃらん」や「楽天トラベル」とも連携ができるホテル管理システム。予約管理から清掃管理まで、宿泊施設の管理に必要なすべての機能を搭載したクラウド型です。
サイトコントローラー(在庫管理)と自社予約システムを全て集約して管理できるのはmincanが業界初!直感的で簡単な操作性のため、導入後も安心できます。
主な機能は下記の通りです。
- 施設管理
- 予約管理
- プラン管理
- 部屋割り管理
- 顧客管理
- 清掃管理
- サイトコントローラー&外接API連携
基本料金は部屋数によって異なります。
部屋数 | 基本料金 |
1~5部屋 | 9,800円 |
6~20部屋 | 12,800円 |
20~30部屋 | 15,800円 |
※以降10部屋ごとに+3,000円
Staysee(ステイシー)
Staysee(ステイシー)は、初期費用無料ではじめられるPMS・ホテルシステム・宿泊管理サービスで、プランはライト・スタンダード・アドバンスの3つが用意されています。
利用料金(税込) | 主な機能 | |
ライトプラン | 月額980円 | 予約利用管理・客室管理・顧客管理・宿泊商品管理・売上管理 |
スタンダードプラン | 月額3,980円 | 上記の他に、チェックインアプリ・CSV出力・インポート機能・帳票機能 |
アドバンスプラン | 月額9,980円 | 上記の他に、売掛管理・予約サイトコントローラー連携・複数施設管理 |
連携可能なサイトコントローラーは以下の通りです。
- RECRUIT
- TEMAIRAZU
- ねっぱん!
- らく通
- TL-リンカーン
- 宿研サイトコントローラー
大規模向けホテル管理システム(PMS)
次に、大規模向けのホテル管理システム(PMS)を比較していきます。
- HOTEL SMART(ホテルスマート)
- GLOVIA smart ホテル
HOTEL SMART(ホテルスマート)
HOTEL SMART(ホテルスマート)は、ホテルチェーンから小規模宿泊施設まで、約800施設での導入実績を持つホテル管理システムです。初期費用は10万円、月額29,800円から利用できます。
主な機能は下記の通りです。
- 予約管理
- 顧客管理
- モバイルチェックイン
- モバイルオーダー
- サイトコントローラーとの連携可能
- 清掃管理
基本機能の他にも、ルームグレードアップ・アクティビティ・アメニティーなどのオプションの販売や、自社公式SNSとの連携、宿泊後のメルマガ配信といった売上アップにつながる機能が充実しているのも特徴的です。
GLOVIA smart ホテル
GLOVIA smart ホテルは富士通が提供しているホテル管理システムで、「クラウド型」と「パッケージ型」いずれかを選んで導入することが可能です。月額あるいは年額制で初期費用を抑えつつ、ネット接続環境があればすぐに利用できる点も魅力に挙げられます。
主な機能は下記の通りです。
- 宿泊管理システム
- 宿泊システム(リゾートバージョン)
- 婚礼・宴会システム
- レストランPOSシステム
- 顧客管理システム
- 売掛システム
- 資材・買掛システム
まとめ|施設規模にあったホテル予約システムを導入しましょう
この記事では、業務効率化を図る上で欠かせない「ホテル管理システム(PMS)」とは何か、導入するメリット・デメリット、選ぶ際のポイントについて解説してきました。
サイトコントローラーを導入したものの、業務改善がまだ必要であるとお悩みの場合には、ホテル管理システム(PMS)も合わせて導入することをおすすめします。特に、mincanは大手宿泊予約サイトの「じゃらん」「楽天トラベル」とも連携が可能ですので、相性も抜群です。
業務課題を解消していくことで、顧客利用満足度向上にもつながっていくでしょう。ぜひホテル管理システム(PMS)の導入を検討してみてください。