茅葺き屋根とは?世界の茅葺き屋根や職人技術をご紹介

茅葺き屋根
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こんにちは、旅行とおいしいものが大好きなライターのHiyummy(ヒヤミー)です!

京都府南丹市には、「かやぶきの里」という、茅葺き屋根の家が並ぶエリアがあります。

重要伝統的建造物群保存地区として建物が守られてきたこの地区は、ユネスコ無形文化遺産にも登録された職人技によって支えられています。

目次

茅葺き屋根とは?

茅葺き屋根の立体見取り図
茅葺き屋根の立体見取り図 / ダイヤ工務店コラム(美山未民族資料館出典)

茅葺き屋根は、ススキやヨシ、藁(わら)などの茅を材料にして家屋の屋根を葺く建築技術です。

起源となるものは縄文時代の竪穴式住居などに見られ、その後も日本古来の建築技術として用いられてきた茅葺き屋根。

茅を束にして並べることで、断熱性・保温性・雨仕舞・通気性・吸音性を兼ね備えています。また、耐久性にもすぐれ、耐用年数はなんと30年以上!

かまどや囲炉裏で、火を起こし薪を焚いていた時代。生活の中で出る煙の成分によって、茅葺き屋根の防虫・防腐・殺菌効果や、屋敷の柱や梁にすすを付着させることで、耐用年数を高める効果があったとされます。

現代では実際に人が住んで毎日火を起こすというわけにもいかないので、施設によって囲炉裏で火を起こしたり、殺菌・殺虫効果のある薬剤を噴霧する「燻蒸(くんじょう)」と呼ばれる作業を定期的に行っています。

海外でも作られている茅葺き屋根

韓国の茅葺き屋根
韓国の茅葺き屋根

実は茅葺き屋根は日本だけのものではないってことをご存知でしたか?

韓国でも伝統的な民家に用いられており、バリ島やフィリピンといった熱帯地域では、ビーチのわきに建てられた小屋など、観光地の現代的な建物にも用いられています。

バリ島の茅葺き屋根
バリ島の茅葺き屋根
フィリピンの茅葺き屋根
フィリピンの茅葺き屋根

一方、日本から遠く離れたヨーロッパでも、茅葺き屋根は歴史ある建築手法として人気。

新築よりも古い建物を大切にするイギリスでは、今でも田舎町に行くと美しくメンテナンスされた茅葺き屋根の家が並びます。

茅葺き屋根の家(イギリス)
茅葺き屋根の家(イギリス) / あぶそる〜とロンドン

さらに北欧地域では、現代的な建物にも茅葺きの技術が使われています。

オランダ・ミッデンデルフトランドの消防署
オランダ・ミッデンデルフトランドの消防署 / BE-PAL

海外では古来より続く伝統技術としてだけでなく、現代建築にも馴染む美しい自然な風景として、かつ耐久性があり茅の再利用もできるSDGs的な活用例として重宝されているのです。

受け継がれる技術と職人

鉄筋コンクリートの建物が主流となり、現代ではあまり見られなくなったこの技術。いかにして保存・継承しているのでしょうか。

例えば、九州よりも国土が小さいオランダには、茅葺に関わる建設会社が400社ほどあり、茅葺職人は1,200人以上。1990年代に茅葺に関する法改正を行って市街地でも茅葺き屋根を建てられるようになり、今でも年間1,200棟の新築が建っています。

それに対して日本の茅葺職人は200名ほど。日本はオランダよりも茅葺き屋根の家が多いにも関わらず、職人の数には大きな差があります。さらに茅葺き屋根の家は維持に手間とお金がかかるため、日本では徐々にその数も減ってきているようです。

神戸かやぶき古民家倶楽部 インタビュー記事より

日本では1950年の建築基準法により「燃えやすい素材」だとして、市街地に茅葺き屋根の家を新しく建てることが禁止となりました。

現在でも茅葺き職人の募集はかけられており、若い世代もいますが、まだまだ人手不足というのが現状です。

茅葺き屋根職人
茅葺き屋根職人 / 神戸かやぶき古民家倶楽部

美山町内にも、茅葺き屋根の工事一式を担う「美山茅葺株式会社」があります。

従業員数8名、美山町の建物はもちろん、全国に点在する茅葺き屋根の建物にも出張工事を行う会社です。
次世代への継承にも力を注ぎ、若手職人を育成しています。

「見て覚える」ことが前提の職人の世界でしたが、現在では手取り足取り、時に模型を使って座学をしたり、夏休みをとって海外研修を行なうなど、しっかりと理解できるように教えることが大切にされています。

イギリスでの海外研修の様子
イギリスでの海外研修(ワークショップ)の様子 / KYOTO SIDE

後継者となる若い世代を育てながら、茅葺きそのものの新しい使い方も検討されています。

外壁が茅葺きのヘアサロン
外壁が茅葺きのヘアサロン / BE-PAL

兵庫県のヘアサロンの外壁を茅葺きで作るという、ちょっと変わった取り組みです。

市街地への新築が難しいことから、今後は現存する茅葺き屋根の保存が主になりそうですが、海外のように現代の暮らしに寄り添うような新しい活用例が増えていくかもしれませんね。

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