金沢に根付く“茶の湯文化”の魅力とは?

金沢茶の湯
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加賀百万石の華やかな歴史が色濃く残る城下町、金沢。
加賀藩政期から受け継がれている文化のひとつに「茶の湯」があります。

現在でも、石川県の茶道人口は全国トップクラス!
地域に根付く「茶の湯文化」とはいったいどんなものなのでしょうか?
金沢の茶の湯にまつわる歴史や、観光でも楽しめる茶の湯の魅力をご紹介します。

目次

“文化大国”で開花した茶の湯

茶の湯©金沢市

金沢に茶の湯文化を広めるきっかけとなったのは、加賀藩初代藩主の前田利家とされています。

茶の湯に関心があった利家は、茶の湯を大成させた千利休らに学び、かなりの腕前だったそう。
戦国武将が茶道をするのはちょっと意外かもしれませんが、当時茶の湯は武士の嗜みであり、権威を表す象徴でもありました。

利家に続き、歴代の加賀藩主も時代を代表する茶人と交流を持ち、茶の湯の指導だけでなく茶道具や茶室の美術品などの収集にも力を入れていきます。

その背景にあったのが、歴代加賀藩主が推し進めた「文化奨励策」。
江戸時代、徳川家に次ぐ大藩だった加賀藩は、江戸幕府からの警戒の目をそらすため、武力ではなく文化を花開かせることで藩の偉大さを世に示していきました。

そのひとつとして奨励された茶の湯文化は、武士だけでなく職人や町人にも浸透し、現在でも広く親しまれるほどに定着していったのです。

茶の湯が育んだ“おもてなしの心”

和菓子©金沢市

茶の湯はお茶を楽しむのはもちろん、茶室のしつらえ、釜や器といった茶道具など、様々な要素が絡み合った空間が魅力。
茶会でのホスト役にあたる「亭主」は、招待した客人を楽しませるため季節に合わせた花や掛け軸、茶道具を揃えてもてなします。

茶の湯が盛んだった加賀藩には、茶室を演出する美術品や工芸品などの名品や職人が集められ、「大樋(おおひ)焼」や「寒雉(かんち)窯」といった独自の伝統工芸品も生み出されていきました。

もうひとつ、茶の湯に欠かせないのが“食”。

お抹茶といえばお茶菓子を連想する方も多いのではないでしょうか?
上生菓子や干菓子など、季節に合わせたモチーフや色づかいがとても上品ですね。
実は、金沢の和菓子消費量は日本一!これも茶の湯文化が根付いている証拠なのです。

また、「正午の茶事」と呼ばれる正式な茶会では、季節の食材を用いて質素ながら手の込んだ「茶懐石」が振舞われます。
厳選された旬の食材や器でお客様をおもてなしする心は、現在の加賀料理にも通ずるものがあります。

このように、茶の湯文化は金沢の食や工芸、暮らしにまで大きな影響を与え、茶の湯で大切にされてきた“おもてなしの心”は金沢の人々のなかに息づいているのです。

金沢で「茶の湯」を楽しもう!

武家屋敷跡野村家武家屋敷跡 野村家 ©金沢市

金沢では日常的に茶道を嗜む人がいる一方、観光客などビギナーでも茶の湯の世界に親しめるスポットもたくさんあります。
金沢観光に行った際は、茶の湯の歴史に思いを馳せながらお茶を楽しんでみてはいかがでしょうか?

時雨亭(兼六園)

兼六園がつくられた当時の別荘を2000年に再現した建物。
四季折々の庭園の景色を眺めながらお抹茶やお菓子をいただくことができます。

武家屋敷跡 野村家

格式高い建物と情緒あふれる日本庭園が美しく、海外からも注目されるスポット。
繁栄を誇った武家の暮らしぶりをうかがいながらいただくお抹茶は格別です。

志摩(ひがし茶屋街)

ひがし茶屋街にあるお茶屋跡で、国指定の重要文化財です。
当時の典型的な茶屋建築の造りがそのまま残された貴重な建物で、かつてのお茶屋の趣を感じながらお抹茶をいただくことができます。

西田家庭園 玉泉園

金沢最古といわれる茶室「灑雪亭(さいせつてい)」では、呈茶だけでなく自分でお茶を点てる茶道体験もできます。
見事に配置された石や池、密生した青苔や四季折々の植物が美しい庭園を前に、情緒あふれる茶の湯体験を楽しめます。

大樋美術館ギャラリー

京都の楽焼を学んだ陶工師の長左衛門が金沢で興した「大樋焼」。ろくろを使わず手で捻り、ツヤの出る飴釉で仕上げるのが特徴です。
お茶室では、350年の歴史を持つ歴代の大樋焼茶碗でお抹茶をいただくことができます。

このほかにも、気軽にお抹茶を楽しめるカフェや茶葉専門店めぐり、和菓子作り体験など、金沢の茶の湯の楽しみ方はいろいろ。
ぜひ茶の湯体験を通して、金沢の人々に根付く“おもてなし文化”にもふれてみてください。

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