昨今のサウナブームによって、新しいサウナ施設が次々と開店していますが、サウナ開業に費用はどのくらいかかるのかご存じでしょうか。サウナ開業を成功させるためにも、必要な費用について知っておきましょう。
この記事では、サウナ開業に必要な費用や項目について詳しく説明しています。補助金制度の説明や、資金調達の方法についても紹介しています。
サウナ開業で失敗しないためのポイントについても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
サウナ開業に必要な費用
サウナ開業に必要な費用は、サウナの規模や立地、サウナのタイプによって異なります。しかし、内訳を把握しておくことで、実際に見積もりを取る時の役に立つでしょう。
ここでは、サウナ開業に必要な費用の項目や、毎月のランニングコストについて紹介します。
サウナ施設の平均坪単価
サウナ施設の平均坪単価は地域、施設の規模、施設のタイプ、立地などによって異なりますが、1坪当たり180〜200万円が目安です。
仮に、100坪のテナントビルに一般的なサウナ施設を造る場合、内装や設備工事だけで2億円前後必要になります。
新築の場合は1坪あたり+50〜100万円程度です。また、一般的には大規模サウナよりも小規模サウナの方が坪単価は割高です。必要な広さは、設備内容にもよりますが最低30坪以上、50〜80坪程度あると良いでしょう。
サウナは温浴施設であるため、設備や機械が重装備になりがちで、費用が掛かる上につぶしが効かないという特徴もあります。サウナ開業には費用面でのリスクが伴うことも認識した上で、利益を上げられる計画作りが重要です。
サウナ設備で費用が発生する項目
サウナ設備を整える上で費用が発生する項目について紹介します。
- 内装
サウナ施設の内部工事に必要な費用です。
下地工事から、木工事、建具やガラス、内装仕上げなど、建物の仕上がりに直結します。
- 建築・外構
建物そのものや、外回り、看板など、外観のイメージに大きく関わる部分です。
お客様が入りたくなるようなイメージに仕上げられれば、集客にも良い影響を与えられるでしょう。
- サウナ設備
サウナ室内の内装やストーブなど、施設の主要部分です。
サウナの規模やタイプによって費用は異なるため、どんなサウナを作りたいかを明確にした上で見積もりを取るようにしましょう。
水風呂もこの項目に含まれます。
- その他設備
電気設備や給排水衛生設備、給湯設備、空調換気設備なども必要です。
また、フロントや休憩所などに設置する机や椅子などの店舗家具も、サウナ建築の初期費用の一部です。
サウナ施設にかかるランニングコスト
サウナ施設に毎月必要なランニングコストについて、紹介します。
- 家賃
テナント物件などでサウナ施設を運営する場合、毎月の家賃が発生します。
ランニングコストの中でも大きな割合を占めるものになるため、無理のない範囲での物件を探すことが重要です。
- 人件費
スタッフを雇う場合、人件費も必要です。
給与だけでなく、採用費や教育費についても見込んでおくようにしましょう。
- 水道光熱費
サウナ施設では毎月かなりの額の水道光熱費が発生します。
一般的な温浴施設の水道光熱費は1人300円程度と言われているため、1日100人集客出来た場合の水道光熱費は、1カ月で約90万円ということになります。
- 消耗品費
バスタオルや石鹸、シャンプーリンスなどの消耗品費も毎月のランニングコストとして必要です。
- 雑費
事務消耗品費、広告宣伝費、修繕費やメンテナンス費なども毎月発生します。
サウナ開業に補助金は使える?
新規でのサウナ開業を考える際に、費用面が大きな負担になることが多いのではないでしょうか。
ここでは、新規開業時の費用負担を少しでも減らすために、サウナ開業時に検討できる補助金制度を紹介します。
事業再構築補助金とは
事業再構築補助金とは、経済産業省が実施する助成金制度です。
コロナウイルスの影響によって既存の事業がダメージを受けている企業を対象に、新規事業の立ち上げを補助するという目的があります。そのため、新分野展開や業態転換、事業転換などが対象です。対象となる業態や範囲は幅広く設定されており、サウナの新規出店に適用できるケースもあります。
企業の規模や使用する金額などによって補助率は変動しますが、1/3〜3/4ほどの補助を受けられます。補助額の上限は、企業の規模やどの枠で応募できるかにもよりますが、第9回公募の場合は最高で1.5億円となっており、注目を集めている制度です。
※2023年1月時点で執筆した記事です。最新情報はこちらのページをご確認ください。
地方自治体独自の補助金制度がある場合も
地方では、地方創生や町おこしを目的とした補助金制度を設けている自治体もあります。サウナを軸として制度設計されているものもあるため、出店を検討している地域に補助金制度があるかを調べてみることがおすすめです。
実際の例として、大分県豊後大野市では豊後大野市アウトドア・サウナ施設等整備事業補助金を実施しています。豊かな自然や大地を体感できるアウトドア・サウナを観光資源として活用し、市内全域でアウトドア・サウナを体験できる環境を整え、本市への誘客を図ることが目的です。
また、鳥取県ではとっとりサウナツーリズム促進イベント開催等支援事業補助金を実施しています。目的は、鳥取県内の民間事業者によるサウナを活用したイベントの開催や観光メニューの造成等に対する支援を通じて、本県サウナの魅力を広く発信し、とっとりサウナツーリズムの促進を図ることです。
※2023年1月時点で執筆した記事です。最新情報は各種ホームページをご確認ください。
事業再構築補助金が採択された事例を紹介
サウナ開業にあたり、事業再構築補助金を活用しようと考えている方もいることでしょう。実際に申請をおこなう前に、どのようなケースで補助金が適用になるかを知っておくことは重要です。
ここでは、事業再構築補助金が採択された例をいくつか紹介します。
個室・プライベートサウナの事例
過去の事業再構築補助金が採択された案件の中でも、個室・プライベートサウナの案件は比較的多い印象でした。
個室・プライベートサウナとは、1人〜家族や恋人、友人などの少人数で利用できる小規模なサウナです。プライベートな空間で、他人との接触を避けられるため、感染症対策もできます。使用時間やサウナの温度をコントロールできるため、その日の体調に合わせた利用が可能です。
ここでは、採択された案件を紹介します。現在別事業を営まれている方が、サウナ事業を新規で立ち上げる際の参考にもなるのではないでしょうか。
会社名 | 特定非営利活動法人かけがわランド・バンク |
事業計画名 | まちやど構想へ繋ぐ空きスペースを活用した「個室サウナ事業」 |
事業計画の概要 | 本事業により、掛川市内の空きスペースを活用し個室サウナを展開する。個室型により密を回避し、お客様に安心・安全でかつ自分のやり方でサウナ時間を過ごすことができる。これにより、空き家を活用した成功事例を創出し、ロールモデルとして展開していきたい。 |
フィンランド式サウナの事例
フィンランド式サウナの採択事例も数多くありました。
フィンランド式サウナとは、日本のドライサウナと比べ温度が低く湿度は高く設定されており、肌や髪の乾燥を防げます。また、サウナストーブで熱したサウナストーンに水をかけ、水蒸気を発生させる「ロウリュ」という行為があることも特徴的です。熱い蒸気が一気に発生するため、発汗作用が高まることで人気があります。ロウリュでは、アロマ水をかけて香りを楽しむこともできます。
会社名 | みゆき観光開発株式会社 |
事業計画名 | 当地初!オホーツク海を見ながら「ととのう」サウナによる新分野展開 |
事業計画の概要 | コロナ禍により既存事業の業績が大きく悪化。紋別市初の温浴施設付フィンランド式自動アロマロウリュサウナを設置し、弱みの克服と相乗効果の発揮、さらにサウナ需要という大きな機会を捉えることで、事業の再構築を図り事業の継続・発展を目指す。 |
事業の新分野を展開した事例
別事業をおこなっていた事業者が、新たにサウナ事業を始めた事例も多いです。
特に、宿泊業から新たにサウナ事業を始めた事例は多く、親和性も高いことから付加価値となり大きな効果が期待できるでしょう。また、飲食店などの異業種からサウナ業を始めた事例もあります。それまで培った経験や人脈を強みにサウナ施設を運営するケースが多いようです。
下記の例では、飲食店・宿泊部門に追加でサウナ事業を始めた事例と、飲食店に併設したサウナ事業を開始した事例を紹介しています。
会社名 | 新居丈幸 |
事業計画名 | 十勝岳を望むロケーションと富良野サウナ飯で富良野をまるごと堪能するバレルサウナを実施 |
事業計画の概要 | 従来の飲食部門、宿泊部門に加えてサウナ部門を新設。サウナ+飲食、サウナ+宿泊など既存事業とのシナジーも期待する。空前のサウナブームに加え、道内でもまだ少ないフィンランド式のバレルサウナの導入や、十勝岳を望むロケーション、地元富良野産の食材を使用した「サウナ飯」など当社独自の色を出し、集客を図る。 |
会社名 | 有限会社サンビシット |
事業計画名 | 地域に根強い飲食事業者が手掛ける練馬区初の個室サウナ事業 |
事業計画の概要 | 練馬区で創業から2代にわたり24年以上飲食店を運営してきた当社が、外部環境のリスクを受けやすい飲食事業から、新たに中華料理店を併設した完全個室のサウナ事業を展開することで会社全体の収益の安定化を図る。 |
サウナ開業資金を調達する方法
サウナを開業するにあたって、かなり多くの開業資金が必要です。自己資金だけで開業できるケースは少ないため、外部からの資金調達が必要になる場合もあります。
ここでは、開業資金を調達する方法を紹介します。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫とは、地方公共団体や中小企業などの融資ニーズを満たすために設立された日本の政府機関です。全国に支店があり、固定金利での融資や長期の返済が可能など、民間の金融機関よりも有利な融資制度が受けやすいことが特徴です。
新たに事業を始める人が利用しやすい制度として「新規開業資金」制度があり、新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方が対象となります。資金の使用用途は、設備資金や運転資金と指定されており、返済期限は設備資金の場合20年以内、運転資金の場合7年以内と定められている好条件な制度です。さらに、他の融資制度を利用すれば、無担保・無保証人で利用できる「新創業融資制度」などの制度もあります。
これらの融資を受けるためには、条件を満たしている必要があります。また、事業計画の内容などを確認する融資審査に通る必要があるため、事前に情報を集めた上で申し込むようにしましょう。
参照:https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/01_sinkikaigyou_m.html
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/04_shinsogyo_m.html
信用保証協会を利用する
信用保証付きの融資とは、万が一借主の返済が滞った場合に、借主に代わって信用保証協会が金融機関に対し立て替え払いをおこなうものです。その場合、債務者は信用保証協会に借入金を返済していくことになります。
信用保証協会とは、信用保証協会法に基づき、中小企業や小規模事業者の円滑な資金調達を支援することを目的に設立された公的機関です。貸し倒れリスクを信用保証協会が負うことになるため、実績のない創業者が民間金融機関からの融資を受けやすくなります。
信用保証協会を利用するメリットは、実績が無くても金融機関からの融資が可能になることや、長期の借入が可能であること、担保が無くても利用可能であることなどが挙げられます。注意点として、借入申請時には信用保証協会と金融機関それぞれでの審査が必要になることや、代位弁済をしてもらったからといって、債務が消えるわけではないことを認識しておきましょう。
参照:https://www.zenshinhoren.or.jp/basic/
親族や知人からの借入
親族から資金を借り入れる場合、金融機関などとは異なり手続きも不要なため、手軽に感じられるかもしれません。しかし、税金面や法律面で注意しなければならない点もあります。
親族からの借り入れだとしても、金銭消費貸借契約書の作成は必須です。客観的に見て借入だということを証明できなければ、贈与だとみなされ贈与税が発生する可能性があるからです。利率や返済期間、返済方法、毎月の返済額などを明確に定めておく必要があります。また、契約で定めた条件に従って返済しているという証拠を残すことも大切です。
さらに、親族間だからという理由で無利息にするケースもありますが、その場合利息に相当する金額が贈与されたとみなされ、借り入れた人に贈与税が課税される場合もあるので注意が必要です。貸した人が利息を受け取った場合も、雑所得として確定申告をする必要があります。
サウナ開業で失敗しないためのポイント
サウナを開業したいが、事業が上手くいくか不安と思う方もいるでしょう。多額の資金を用意しサウナを開業したからには、失敗は避けたいところです。
ここでは、サウナ開業で失敗しないためのポイントを紹介します。しっかりとポイントを抑え、サウナ開業を成功させましょう。
集客方法を考える
サウナ開業を成功させるためには、多くのお客さんに来てもらうことが一番重要です。獲得したいターゲットを定め、それに合わせた効果的な集客方法を考えることが大切です。
具体的な集客方法として、地元の新聞や看板などに店の情報を掲載するローカルマーケティングや、Web広告やSNSを利用したデジタルマーケティングが挙げられます。他にも、地域のイベントやフェアなどに参加し施設の周知をおこなうコミュニティイベントへの参加も効果的です。
どのような集客方法を採用するかは、獲得したいターゲットと費用感に合わせて選択すると良いでしょう。実施した集客方法の結果を確認することで、需要と製品やサービスの一致度を把握でき、PDCAサイクルを回していくことでより効果的な集客をおこなえます。
立地にこだわる
サウナ施設を運営していくにあたって、どのような立地で運営するかは非常に重要なポイントです。
駅からのアクセスが良い場所や、国道沿いなど車でのアクセスが良い場所にサウナ施設を構えられれば、広告費や宣伝費をかけなくても集客ができる可能性があります。車で来てもらうことを考えた場合、広い駐車スペースを設けたり、車の出入りがしやすかったりすると、より多くのお客さんを集められるでしょう。
また、近くに温浴施設がない場所を選ぶことも重要です。競合が少なければ、その土地で優位性をもってサウナ施設を運営できます。さらに、初期費用や月々のランニングコストを抑えるためにも、なるべく地価が安い場所を選ぶことも有効です。
独自性のあるサウナ施設を提供し差別化する
サウナ業界では、現在空前のサウナブームが起きています。人気の高いサウナ施設では入場制限がかけられたり、都内近郊では次々と新しいサウナ施設が建設されたりしている状況です。従って、サウナ業界は激しい競争状態にあると言えます。
そんな中で、新たにサウナ施設を開業する場合、オリジナリティのある独自性の高いサウナ施設を提供し、他のサウナ施設と差別化を図ることが成功するためには必要です。
昨今では個室サウナやサウナの高級化も進んでおり、各々の施設で独自性が高まってる状態です。また、地方固有のものをサウナを通じて発信する、地方創生の取り組みも実施されています。実際の例として、使われなくなった蔵を改装してサウナにした「蔵サウナ」や、地産地消の美味しいレストランにサウナが併設されている施設などもあります。
土地の特徴も活かしながら、独自性のあるサウナ施設を提供することが重要です。
サービスの質を上げ満足度を向上させる
お客さんに気に入ってもらい、長く利用してもらうためには、質の高いサービスを提供し満足度を向上させる必要があります。
実際に満足度の高いサウナ施設では、平日ですら予約のキャンセル待ちが出るほどです。また、遠くから旅費をかけてまでそのサウナ施設に訪れる人もいます。質の高いサービスと他の利用客の口コミの良さ、満足度の高さが、サウナ好きの人を動かすのでしょう。
質の高いサービスを提供できれば、利用料が他と比べて高くても、コスパが良いと感じてもらうことができ、長く利用してもらえます。サウナ開業を成功させるためには、いかに質の高いサービスを提供し、お客さんの満足度を上げられるかが重要です。
サウナ開業にはにはまとまった資金が必要
サウナ開業には、多額のまとまった資金を用意する必要があります。そのため、補助金の申請や、各種借入の検討も大切です。資金を調達し、ポイントを抑えた運営をおこないサウナ開業を成功させましょう。
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